【家族介護の葛藤について】介護福祉士の経験を活かして、患者さまとご家族さまに寄り添う
先日、神戸市長田区役所にて。家族介護(老老介護)をテーマに、介助を行うご家族さまへお話をさせていただく機会をいただきました。
自己紹介
本日は、このような場でお話しさせていただくことを有難く思います。簡単に私の自己紹介をさせていただきます。
私は、「訪問鍼灸たか」相談員の星島と申します。よろしくお願い致します。
前職は、介護福祉士をしておりました。 訪問ヘルパー・介護施設・デイサービスの場を経験し、現職に就きました。 いずれの介護の現場でも、色々な介護の形を見てきました。その中でも印象に残った(皆さんに紹介したい)方々のお話しをしていきたいと思います。
家族介護の事例
一番初めにお話しするのは、介護の現場に入った訪問ヘルパー時代に関わらせていただいた方のお話をします。
Nさんは、四世代同居され農業を営んでおられるご家庭でした。利用者の方は、100歳のおばあちゃん。主に介護されているのは、75歳のお嫁さんでした。初めてお伺いした時、サービス責任者と同行しその先輩から 「部屋をみてびっくりしないように」「認知症なので暴力を振るう時があります」 と言われていました。 入ると離れに小さいお部屋が一つありました。その中に、年中引きっぱなしであろうお布団とポータブルトイレ、タンスが一つありました。おばあちゃんは、布団に横になり眠っておられました。私のミッションはおむつ交換です。先輩のヘルパーが優しく声を掛け、おむつに手をかけた時、おばあちゃんの手が飛んできました。私は「これか」と思い、大変そうだけどやるしかない。と腹をくくりました。週3回ご利用されていたので、そのうちの2回は私が行くことになりました。Nさんの介助には、お嫁さんも付き添ってくださいました。
ある日、訪問しおむつ交換の為布団をめくるとNさんの顔に青あざが… お嫁さんの姿はなく、転けてしまったのかな?と思いました。帰り際、お嫁さんを呼ぶが「ありがとう。忙しいからごめんね」 と声だけが聞こえてきました。顔のあざのことを聞くが「転けたんよ」と。 私は、「報告書に青あざありと転倒されたとのこと。」と記入し、 家を出た後、事務所に報告しました。 次の訪問日、お嫁さんがおられ、いつものようにおむつ交換しようとお布団に手をかけると、その手を掴まれました。声を掛けても、手は離してくれず、手をほどいても叩かれるような状態でした。お嫁さんが私を見かねて 「おばあちゃん、暴れんといて。困ってるよ」と抑えようとされました。その瞬間お嫁さんがおばあちゃんにバシッと叩かれてしまいました。私が「大丈夫ですか?」とお嫁さんを見ると、 ものすごい形相になり、おばあちゃんを平手で何度も叩いておられました。
暴れるおばあちゃんのおむつ交換を終え、お嫁さんのもとへ… 「いつも暴れた時は,叩いてしまうんよ…」 と涙を流しながら仰られるお嫁さんでした。私は、事務所に連絡をし、サービス責任者からケアマネさんに報告がいきました。ケアマネさんは、すぐにそのお宅を訪問しレスパイトケアを提案。訪問看護も入ることとなりました。それから間もなくおばあちゃんは、 暴れる力もなく、意識もないような状態になり、亡くなられました。
四世代同居、みんなが介護に参加してくれるだろうという周りの見方 お嫁さんの辛抱強さに本当の気持ち状態を見てあげられることが出来なかった そのことへの申し訳なさを感じた事例でした…
次にお話しするのは、今現在進行中のご夫婦の事例です。
老老介護の事例
まず老老介護とは、 家庭内の事情などにより六五歳以上の高齢者が、高齢者の介護をせざるをえない状況のことです。
私たち「訪問鍼灸たか」に新規の問い合わせがご主人からありました。奥様は75歳認知症。ご主人は78歳。デイサービスへ行く前にご主人が足のマッサージや運動をした際に、デイサービスでの足の運びが良くなったことで、「プロに頼んでみよう!」と思われたのがきっかけです。
お伺いした際、お部屋はきちっと片付けられていました。ご主人も奥様に精一杯してあげたいという思いで溢れていました。でも、私は男性の介護者の危険をいくつも見てきました。その危険にいくつも当てはまる所がこのご主人にはありました。相談する相手はいるのだろうか?
心配で私から出た言葉は「ケアマネさんと連携を取らせていただいてもいいですか?」 もちろん快諾していただけました。私は早速ケアマネさんに連絡を取り、ご主人の介護疲れが心配なことをお伝えし、何かあればすぐに連絡するお約束をしました。ケアマネさんの心配も一緒でした。
そんなある日、当院の担当の施術者から連絡がありました。 「お父さんが、私の目の前でお母さんを叩いてしまわれました…」 話を聞くと、足の運動をしようと促しても、奥様がなかなか足を動かしてくれなかったようです。ご主人が促すも拒否され、カーッとなってしまったようでした。私はケアマネさんに連絡し、この話をしました。「手が出てしまいましたか…」 ケアマネさんもご主人の介護疲れを気にされ、ショートステイを入れた矢先の出来事でした。ご主人は、月に1回ショートステイを利用しようと思われていたようですが、ケアマネさんが毎週水曜日から金曜日までショートステイを利用しましょうと提案したそうです。
それから毎週水曜日・木曜日・金曜日の帰宅するまで、ご主人の何も考えなくていい時間を作って心の休養も取り入れられました。今では、ご主人も奥様もこのペースに慣れ、日々穏やかに過ごされています。
チームで支える地域包括として
先日、経過報告書をケアマネさんにお渡しした際、ケアマネさんからこのように言われました。
「私たちは、チームですよね!」と。
私たち「訪問鍼灸たか」も地域包括ケアの一端を担っています。
患者様だけでなく、そのご家族の方も在宅医療のチームとして診ていくの事が 私たち「訪問鍼灸たか」のミッションだと強く決意しました。
5年前に亡くなった私の父が言った言葉が 「自分の介護でお母さんの笑顔がなくなってしまうのが一番辛い」
要介護者の方々は、このように思う方が多いのではないか?と思います。
我慢しない、助けを求める。
私たちは、いつでも手を広げて待ってます。
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